中小企業の総務AI活用事例8選|問い合わせ・文書作成を検証

中小企業の総務AI活用事例8選|問い合わせ・文書作成を検証

中小企業の総務でAIが役に立つのは、「社内文書に答えが書いてある問い合わせへの一次回答」と「情報が固まりきっていない文書のドラフト化」の2つです。承認や最終判断、全社への確定配信まで任せると事故につながります。ここでは検証用の架空社内規程と架空の社内通知を使い、実際に入力した文章とAIが返した出力をそのまま載せます。

検証はすべて架空データで行い、実在企業の規程や個人情報は使っていません。削減時間やコスト効果の数値は扱いません。出力は毎回変わるため、必ず自社環境で試し、人の目で確認してから運用してください。

目次

中小企業の総務で試せるAI活用事例8選

線引きの基準は「答えの根拠が社内文書の中にあるか」と「その文書が確定情報かどうか」の2点です。次の8つは総務業務でAIを当てやすい領域ですが、実際に入力と出力を確認したのは1と2の2件のみで、3〜8は同じ考え方で試せる「型」です。

#活用場面AIへの指示の要点本記事での扱い
1社内規程を根拠にした問い合わせ回答記載内容だけを根拠にし、記載外は判断不能と書かせる実際に検証(事例1)
2未確定情報を含む社内通知のドラフト推測禁止+公開前確認欄を付けさせる実際に検証(事例2)
3会議メモから議事録と宿題への整理決定・保留・宿題の3分類で出力させる試せる型
4備品・貸与品の申請フロー説明文の作成手順を番号付きで、例外は別記させる試せる型
5稟議書のたたき台作成目的・背景・比較案・想定リスクの型で書かせる試せる型
6慶弔・来客対応などの定型文バリエーション相手区分ごとに複数案を出させる試せる型
7問い合わせ履歴からのFAQ草案づくり頻出質問を抽出し、回答は既存文書からのみ試せる型
8新入社員向け案内・オリエン資料の骨子既存資料の範囲内で構成案だけ作らせる試せる型

3〜8を試すときも、根拠になる社内文書を必ず添え、未確定情報は推測させない指示をセットにしてください。ここからは実際に検証した2件を見ていきます。

事例1:社内規程を根拠に、備品購入の問い合わせへ回答させる

総務が多く受けるのは「これは誰の承認が必要か」という問い合わせです。検証用の架空社内規程を渡し、次の文章を入力しました。

備品購入は税込1万円未満なら所属長、1万円以上5万円未満なら部門長、
5万円以上は管理部長と代表の承認。購入後5営業日以内に領収書登録。
緊急購入は別紙。税込38,500円の在宅勤務用モニターを今日購入したい。
承認者、領収書期限、事後承認可否を回答。
規程に書かれた内容だけを根拠にし、根拠と未確認事項を示す。
ChatGPTに備品購入の架空社内規程と問い合わせを入力した画面
ChatGPTに備品購入の架空社内規程と問い合わせを入力した画面

架空社内規程と問い合わせを入力した画面

返ってきた出力は次のとおりです。

部門長の事前承認が必要、領収書は購入後5営業日以内。根拠は「1万円以上5万円未満なら部門長承認」「購入後5営業日以内」。事後承認は本文に記載がなく、緊急購入の別紙確認が必要なので判断不能。

ChatGPTが社内規程の根拠と事後承認の未確認事項を示した画面
ChatGPTが社内規程の根拠と事後承認の未確認事項を示した画面

根拠と未確認事項を分けた回答画面

注目したいのは事後承認の扱いです。規程本文に記載がないため、AIは一般論で埋めず「別紙の確認が必要」として保留しました。回答・根拠・未確認事項が分かれて出るかが、実務で使えるかの分かれ目です。今回はこの分離を、入力の最後に置いた「規程に書かれた内容だけを根拠にし、根拠と未確認事項を示す」という一文で指定しています。ただし1回の試行であり、規程の書きぶりが曖昧な場合に同じ精度が出るとは限りません。運用前に自社の規程で試してください。

事例2:日程が未確定でも、社内通知のドラフトを安全に作らせる

もう一件は情報が揃っていない段階での文書作成です。複合機入れ替えに伴う印刷停止の全社通知を、日程・停止時間・連絡先が未確定のまま作らせました。

複合機を入れ替える。作業中は印刷不可。各部署は事前印刷。
緊急時は総務。日程と連絡先は未確定。全社員向け通知文を作る。

初回の出力は未確定の日程を勝手に埋めませんでしたが、体裁が通常のお知らせそのもので、確定した通知に見えます。転送されれば未承認のまま全社へ流れる状態でした。

ChatGPTが未確定日程を含む複合機入れ替え通知を作成した画面
ChatGPTが未確定日程を含む複合機入れ替え通知を作成した画面

未確定情報を含む通常形式の初回通知

そこで次の修正指示を追加しました。

日程、停止時間、総務連絡先は推測せず未確定とし、
公開前に総務担当者が埋める確認欄を付ける。件名にも「ドラフト」を入れる。

修正後は件名が「【ドラフト】複合機入れ替えに伴う印刷停止のお知らせ」となり、次の3点が変わりました。

  • 件名が通常のお知らせ形式だった → 冒頭に「【ドラフト】」を入れる形に変えた
  • 未確定であることが読み手に伝わらなかった → 本文で未確定項目と確定通知でない旨を明示する形に変えた
  • 誰が確定させるか文書上に痕跡がなかった → 実施日程・停止時間・連絡先・確認者/確認日の確認欄を付ける形に変えた

失敗は「嘘を書いたこと」ではなく「未完成であることが伝わらなかったこと」でした。人が確定する工程が文書上に残るかどうかが分かれ目です。修正後の確認欄には実施日程、停止時間、総務連絡先に加えて確認者と確認日の欄が入り、誰がいつ確定させたかを文書上に残せる形になりました。

ChatGPTが未確定情報と総務担当者の確認欄を追加した画面
ChatGPTが未確定情報と総務担当者の確認欄を追加した画面

ドラフト表示と公開前確認欄を追加した修正版

同じ結果を出すための指示と公開前チェック

2件で効いた指示は共通しています。次の型をそのまま使えます。

【問い合わせ回答用】
以下の社内文書だけを根拠に回答してください。
1. 回答
2. 根拠となる記載の引用
3. 文書に記載がなく判断できない事項
の3つに分けて出力し、記載のないことは推測しないでください。
【文書ドラフト用】
未確定の情報は推測せず「未確定」と明記してください。
件名の冒頭に【ドラフト】を入れ、末尾に
確認者/確認日を含む公開前確認欄を付けてください。

公開前は、記載外の内容が混ざっていないか、未確定項目が残っていないか、社名や個人名のマスキング漏れがないか、確定通知として出す承認が取れているかの4点だけ確認し、通ったものだけを配信します。

導入前に決めておく社内ルールと注意点

先に決めるのは、入力してよい情報の範囲、マスキング基準、公開前の確認者の3つです。社内規程の条文は社名や拠点名を伏せた抜粋で試し、個人名・連絡先・給与情報・取引先名や契約条件はそのまま入力しません。今回の検証もすべて架空データで、実在の規程や個人情報は入力していません。利用するAIサービスの法人向け設定は提供元の公式ドキュメントで確認してください。本記事では未確認のため断定しません。公開前の確認者は文書を作った本人以外にしておくと、ドラフトのまま配信される事故を防ぎやすくなります。

よくある質問

総務が1〜2名でもAI活用は始められますか?

始められます。今回の2件は追加ツールなしで、文章を貼り付けて指示するだけです。まずは社内文書1本を使った一次回答から試してください

社内規程や社員情報をAIに入力しても問題ありませんか?

契約形態と設定次第です。個人情報や取引先情報はそのまま入力せず、伏せ字や架空データに置き換えて試し、判断基準を社内で明文化してください。

AIが作った通知文はそのまま社内に配信してよいですか?

配信しないでください。未確定情報が残ったまま完成品に見える文書ができます。ドラフト表示と公開前確認欄を付け、人が確定させてから配信してください。

総務AI活用事例まとめ

中小企業の総務でAIを使い始めるなら、次の3ステップが現実的です。

  1. 社内文書を1本選び、その文書だけを根拠に、回答・根拠・判断できない事項の3分割で一次回答を作らせる。
  2. 確定前の社内通知をドラフトで作らせ、未確定項目は推測させず公開前確認欄を付けさせる。
  3. 記載外・未確定・マスキング・承認の4点を人が確認してから配信する。

本記事の検証は架空データによる限定的なもので、効果を保証するものではありません。自社の文書で試し、人による確認工程を必ず残したうえで運用してください。

AIの導入や活用方法について迷ったら、まずは無料でご相談ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

株式会社MoMoの広報担当、桃乃愛です。
AIに関する知識や活用法、AI時代に求められるマインドセット、AI時代のキャリアやスキルアップのヒントなどを発信中!
MoMoの記事を読むことで、最新のAIトレンドをキャッチし、今後のキャリアに役立つスキルや考え方を身につけることができます。
もちろん、MoMoの最新ニュースもお伝えしていきますので、是非お楽しみに(^^♪

目次