2023年11月にOpenAIが発表した「GPTs」は、ChatGPTを特定の目的に合わせてカスタマイズできる画期的な機能です。プログラミングの知識がなくても、対話形式で誰でも簡単に自分だけのAIアシスタントを作成できるため、個人利用からビジネスシーンまで、その活用範囲は急速に拡大しています。
しかし、「GPTsに興味はあるけれど、作り方がわからない」「どうやってビジネスに活かせばいいのかイメージが湧かない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、そのような方々に向けて、GPTsの基本的な概念から、初心者でも迷わずできるGPTsの作り方7ステップ、さらには業務効率を飛躍的に向上させるビジネス活用事例まで、2025年最新の情報を交えながら網羅的に解説します。この記事を読めば、あなたも今日からGPTsを自在に操り、日々の業務や情報収集を劇的に効率化できるようになるでしょう。
GPTsとは?基本を理解しよう
まずは、GPTsがどのようなもので、従来のChatGPTと何が違うのか、その基本をしっかりと押さえておきましょう。
GPTsの定義と特徴
GPTsとは、「Generative Pre-trained Transformers」を特定の用途に合わせてカスタマイズしたものです。簡単に言えば、あなた専用のChatGPTを作成できる機能です。通常のChatGPTが汎用的なアシスタントであるのに対し、GPTsは特定のタスク、例えば「SEO記事の構成案を作成する」「特定の社内ドキュメントに基づいて質問に回答する」といった役割に特化させることができます。
このカスタマイズは、OpenAIが2023年11月の開発者向けカンファレンス「DevDay」で発表して以来、大きな注目を集めています。最大の特徴は、プログラミングの知識が一切不要である点です。ユーザーは「GPT Builder」という対話型インターフェースを使い、自然言語で指示を与えるだけで、独自のGPTを構築できます。
GPTsでできること
GPTsを活用することで、以下のようなことが可能になります。
・特定タスクに特化したAIの作成: 繰り返し行う定型業務を自動化するAIや、特定の専門知識を持つAIを作成できます。
・プログラミング不要の開発: 自然言語での対話を通じて、AIの名称、役割、応答スタイルなどを細かく設定できます。
・外部サービスとの連携: APIを介して外部のデータベースやサービスと接続し、より高度で実用的な機能を実現できます。(例:カレンダー連携、Eコマースサイトの商品検索など)
GPTsを使うメリット
GPTsを導入することで、個人や企業は多くのメリットを享受できます。特に大きな利点は以下の4つです。
| メリット | 詳細 | 
| 業務効率化 | メール作成、議事録要約、情報収集などの定型業務を自動化し、作業時間を大幅に削減します。例えば、毎日1時間かかっていたレポート作成が10分で完了するなど、具体的な時間削減効果が期待できます。 | 
| 品質の均一化 | 特定のフォーマットやスタイルガイドを学習させることで、誰が使っても一貫した品質のアウトプットを生成できます。これにより、属人化を防ぎ、組織全体の生産性を向上させます。 | 
| 専門知識の不要性 | 従来、AIチャットボットの開発には高度なプログラミングスキルが必要でしたが、GPTsは自然言語で誰でも作成可能です。これにより、開発コストを大幅に削減できます。 | 
| コスト削減効果 | 外部に委託していた業務や、高価な専門ツールが必要だった作業を内製化できるため、コスト削減に直結します。 | 
GPTsの利用に必要な条件と料金
GPTsを作成・利用するためには、いくつかの条件があります。ここでは、必要なプランと料金体系について詳しく解説します。
無料プランと有料プランの違い
現在のChatGPTには、無料プランと有料プラン(Plus/Pro)が存在し、GPTsに関してできることが異なります。
| プラン | GPTsの利用 | GPTsの作成 | GPT Storeへの公開 | 
| 無料プラン | 〇(一部制限あり) | × | × | 
| ChatGPT Plus | 〇 | 〇 | 〇 | 
| ChatGPT Pro | 〇 | 〇 | 〇 | 
無料ユーザーは、他のユーザーが作成し、GPT Storeで公開されているGPTsを閲覧・利用することしかできません。一方、GPTsを自分で作成・公開したい場合は、ChatGPT Plus以上の有料プランへの登録が必須となります。
料金体系
GPTsの作成に必要な有料プランの料金は以下の通りです(2025年10月時点)。
| プラン | 月額料金(米ドル) | 主な対象ユーザー | 
| ChatGPT Plus | $20 | 個人、小規模チーム | 
| ChatGPT Pro | $200 | 企業、大規模な開発者 | 
多くの個人ユーザーや中小企業にとっては、月額20ドルのChatGPT Plusで十分な機能を利用できます。初期投資として月額20ドルは決して安くありませんが、後述する業務効率化の効果を考えれば、費用対効果は非常に高いと言えるでしょう。
登録方法
有料プランへの登録は、以下の簡単なステップで完了します。
1.OpenAIの公式サイトにアクセスし、アカウントを作成します。
2.ChatGPTにログイン後、画面の指示に従って有料プラン(PlusまたはPro)にアップグレードします。
3.クレジットカード情報を入力し、支払いを完了させます。
登録が完了すれば、すぐにGPTsの作成機能にアクセスできるようになります。
【実践】GPTsの作り方7ステップ
ここからは、いよいよGPTsの具体的な作成手順を7つのステップに分けて解説します。実際の画面を思い浮かべながら、一緒に進めていきましょう。今回は例として、「SEOに強いブログ記事の構成案を作成してくれるGPT」を作ってみます。
ステップ1|ChatGPTにアクセスして準備する
まずはChatGPTにログインします。GPTsを作成するには有料プラン(Plus/Pro)への登録が必要です。ログイン後、画面左側のメニューから「GPTを探す(Explore GPTs)」をクリックします。
ステップ2|「GPTを作成する」を選択
「GPTを探す」ページに移動すると、画面右上に「+作成する(Create)」というボタンがあります。ここがGPTs作成の入り口です。このボタンをクリックして、GPT Builderを起動しましょう。
ステップ3|使用目的と役割を明確に伝える
GPT Builderが起動すると、「何を作りたいですか?」と対話形式で質問されます。ここでの最初の指示が、GPTの性能を決定する上で非常に重要です。具体的で明確な指示を心がけましょう。
入力例: 「あなたは、プロのSEOコンサルタント兼編集者です。指定されたキーワードに基づいて、検索上位を狙えるブログ記事の構成案を作成してください。読者の検索意図を深く分析し、網羅的で分かりやすい構成を提案することがあなたの役割です。」
このように、①役割(ペルソナ)、②具体的なタスク、③最終的な目標を明確に伝えることがポイントです。また、この時点で「以降のやり取りは日本語でお願いします」と付け加えておくとスムーズです。
ステップ4|基本設定を対話形式で完了する
最初の指示を伝えると、GPT Builderが対話形式で基本設定を進めてくれます。
1.名前の決定: GPT BuilderがGPTの名前を提案してきます。気に入らなければ、「『SEO記事構成アシスタント』という名前にしてください」のように、希望の名前を伝えましょう。
2.アイコンの生成: 次に、GPTのプロフィール画像(アイコン)をDALL-E 3が自動で生成してくれます。これも「もっとシンプルなデザインにしてください」といった指示で修正可能です。
3.役割と目標の調整: 作成したいGPTの役割や振る舞いについて、さらに深掘りする質問をされることがあります。例えば、「どのような文体を好みますか?」「特に重視すべき点は何ですか?」といった質問です。ここでも具体的に回答することで、より理想に近いGPTに仕上がります。
ステップ5|詳細設定(Configure)で機能を追加
対話での基本設定が完了したら、画面上部の「設定(Configure)」タブに切り替えて、より詳細なカスタマイズを行います。ここがGPTsの性能を最大限に引き出すための重要なポイントです。
・Instructions(指示): GPTに与える基本的な指示やルールの全文です。対話形式で設定した内容がここに反映されていますが、さらに詳細なルール(例:「見出しはH2とH3のみ使用する」「必ず結論から書く」など)を直接追記・編集できます。
・Knowledge(知識): ここにPDFやテキストファイルなどをアップロードすることで、GPTに独自の知識を与えることができます。例えば、自社の製品情報や、特定のライティングマニュアルなどを学習させることが可能です。
・Capabilities(機能): GPTに持たせる機能をここで選択します。
・Web Browsing: 最新の情報をインターネットから検索して回答に含める場合に有効にします。
・DALL-E Image Generation: 回答の一部として画像を生成させたい場合に有効にします。
・Code Interpreter: データ分析やグラフ作成などを行わせたい場合に有効にします。
・Actions(アクション): APIを介して外部サービスと連携させるための設定です。上級者向けですが、カレンダーアプリやCRMツールと連携させることで、活用の幅が大きく広がります。
ステップ6|テストして動作を確認
設定が完了したら、画面右側のプレビュー画面で実際にGPTをテストしてみましょう。これは「プレイグラウンド」とも呼ばれ、ユーザーに公開される前に動作を試せる重要な機能です。
ステップ3で設定した役割通りに動くか、様々な質問を投げかけてテストします。例えば、「『GPTs 作り方』というキーワードで記事構成案を作成してください」と入力し、期待通りのアウトプットが出るか確認します。もし期待と違う動きをした場合は、「設定(Configure)」タブに戻り、指示(Instructions)を修正・改善します。
ステップ7|公開設定を選択して保存
テストが完了し、満足のいくGPTが完成したら、いよいよ公開です。画面右上の「保存(Save)」ボタンをクリックすると、以下の3つの公開範囲が表示されます。
1.私だけ(Only me): 自分専用の非公開GPTとして保存します。
2.リンクを知っている人だけ(Only people with a link): URLを知っている人のみがアクセスできる限定公開です。チーム内での共有などに適しています。
3.全員(Public): GPT Storeに公開され、全世界のChatGPTユーザーが利用できるようになります。
目的に合った公開範囲を選択し、「確認(Confirm)」ボタンをクリックすれば、あなたのオリジナルGPTの完成です。
GPTs作成を成功させる5つのコツ
基本的な手順通りに進めるだけでもGPTsは作成できますが、より高性能で「使える」GPTsを作るためにはいくつかのコツがあります。ここでは、特に重要な5つのポイントを紹介します。
コツ1|具体的で明確な指示を書く
GPTsの性能は、「Instructions(指示)」の質によって9割が決まると言っても過言ではありません。曖昧な指示では、期待通りのアウトプットは得られません。役割、タスク、目標、制約条件などを、できるだけ具体的に記述しましょう。
| 悪い例 | 良い例 | |
| 指示 | ブログ記事を書いて。 | あなたはプロの編集者です。読者の悩みに寄り添い、解決策を提示するブログ記事を作成してください。以下の制約条件を守ってください。\n- 文字数: 3000字以上\n- 文体: ですます調で、専門用語は避ける\n- 構成: PREP法を用いる | 
コツ2|想定される質問パターンを網羅する
ユーザーがどのような質問をするかを事前に予測し、それに対応できるような指示をInstructionsに含めておくことが重要です。特に、ユーザーが入力しがちな省略された質問や、少し意地悪な質問(エッジケース)にも対応できるように設計することで、GPTsの安定性が向上します。
コツ3|不要な機能はオフにする
GPTsには「Webブラウジング」「画像生成」「Code Interpreter」といった強力な機能(Capabilities)がありますが、タスクに不要な機能はオフにしておくことをお勧めします。全ての機能をオンにすると、GPTがどの機能を使うべきか混乱し、意図しない動作をしたり、応答速度が低下したりする原因になります。例えば、テキスト生成のみを目的とするGPTであれば、画像生成機能は不要です。
コツ4|適切な知識ファイルをアップロードする
「Knowledge(知識)」機能は非常に強力ですが、関連性の低い情報を大量にアップロードすると、かえって性能が低下することがあります。GPTが参照すべき情報を絞り込み、ノイズとなる情報を減らすことが重要です。例えば、特定の製品に関するFAQボットを作る場合は、その製品のマニュアルや仕様書のみをアップロードし、会社全体の歴史に関するドキュメントなどは含めないようにします。
コツ5|定期的にアップデートする
GPTsは一度作ったら終わりではありません。実際に使ってみて得られたフィードバックや、ユーザーとの対話ログを元に、定期的にInstructionsやKnowledgeを改善していくことが重要です。継続的なメンテナンスこそが、GPTsを長期的に価値あるツールへと成長させる鍵となります。
GPTsのビジネス活用事例10選
GPTsの真価は、ビジネスシーンにおける業務効率化で発揮されます。ここでは、明日からでも使える具体的な活用事例を10個厳選して紹介します。
| カテゴリ | 活用事例 | 具体的な内容 | 
| マーケティング | SEO記事作成支援 | キーワードを入力するだけで、検索意図を分析し、最適な記事タイトル、導入文、見出し構成案を数分で作成します。コンテンツ制作時間を大幅に短縮できます。 | 
| SNS投稿文生成 | X(旧Twitter)やInstagramなど、各プラットフォームの特性に合わせた投稿文を複数パターン提案します。エンゲージメントを高めるハッシュタグの提案も可能です。 | |
| 業務効率化 | 議事録作成アシスタント | 会議の音声データをアップロード(またはテキストを入力)するだけで、要点、決定事項、ToDoリストをまとめた議事録を自動で作成します。 | 
| メール返信支援 | 顧客からの問い合わせメールに対し、丁寧かつ的確な返信文案を即座に作成します。社内のナレッジを学習させておけば、より専門的な回答も可能です。 | |
| クリエイティブ | 画像生成支援 | 「ブログのアイキャッチ画像を生成して」といった指示で、記事のテーマに合った画像をDALL-E 3を使って生成します。デザインの知識がなくても、プロ品質の画像が手に入ります。 | 
| 動画編集サポート | 動画編集ツール「CapCut」と連携したGPTsを使えば、台本作成から動画テンプレートの検索、ナレーション付き動画の生成までをチャット上で行えます。 | |
| データ分析 | データ分析・レポート作成 | 売上データなどのCSVファイルをアップロードし、「月別の売上推移をグラフ化して」と指示するだけで、Code Interpreter機能がデータを分析・可視化し、レポートを作成します。 | 
| 教育・研修 | 社内教育用チューター | 新入社員向けの業務マニュアルや社内ルールを学習させ、質問に24時間365日回答するAIチューターとして活用できます。教育担当者の負担を軽減します。 | 
| 人事・採用 | 履歴書作成支援 | 候補者の経歴を入力するだけで、魅力的な職務経歴書や自己PR文を作成するのを支援します。採用プロセスの効率化に貢献します。 | 
| その他 | 多言語翻訳・校正 | 海外の取引先とのメールや、外国語の資料を瞬時に翻訳・校正します。単なる翻訳だけでなく、現地のビジネス文化に合わせた自然な表現を提案してくれます。 | 
2025年の最新機能とアップデート情報
GPTsの世界は日々進化しています。ここでは、2025年に入ってからの特に注目すべき最新機能やアップデート情報をお届けします。
モデル選択機能の追加
2025年6月のアップデートにより、ついにGPTsでも利用する基盤モデルを選択できるようになりました(有料プラン限定)。これにより、タスクの性質に応じて最適なモデルを使い分けることが可能になり、GPTsの利便性がさらに向上しました。
・文章生成やチャット: 応答速度の速い軽量モデル(例: GPT-4.1-mini)を利用してコストを抑えつつ、軽快な対話を実現。
・画像生成や高度な分析: より高性能な推論モデル(例: o1-preview)を利用して、複雑なタスクの精度を追求。
このように、用途に応じてモデルを切り替えることで、コストパフォーマンスと性能の両方を最適化できます。
GPT Storeの進化と収益化
GPT Storeも継続的に進化しており、優れたGPTを作成したクリエイターが収益を得られるプログラムが段階的に拡充されています。まだ一部のクリエイターに限定されていますが、将来的にはより多くの人が自作のGPTで収益を上げられるようになることが期待されています。人気のあるGPTsのトレンドとしては、特定の業務に深く特化したツールや、エンターテイメント性の高いユニークなAIキャラクターなどが挙げられます。
API連携の強化
GPTsの「Actions」機能も強化され、外部サービスとのAPI連携がより簡単かつ強力になっています。ZapierやMake.comといった自動化プラットフォームと組み合わせることで、コーディングなしで数百〜数千の外部アプリケーションとGPTsを連携させることが可能です。これにより、「Gmailに新しいメールが届いたら、その内容をGPTsで要約してSlackに通知する」といった、より高度な業務自動化が実現できます。
まとめ|GPTsであなただけのAIアシスタントを育てよう
本記事では、2025年の最新情報に基づき、GPTsの基本的な概念から、初心者でも簡単に作成できる7つのステップ、そしてビジネスを加速させる具体的な活用事例までを網羅的に解説しました。
GPTsは、もはや一部の技術者に限られたツールではありません。プログラミングの知識がなくても、誰もが対話形式で自分だけの強力なAIアシスタントを育て、日々の業務やクリエイティブな活動に活かすことができる時代が到来しています。
この記事で解説したポイントのまとめ:
・GPTsは誰でも作れる: 有料プラン(ChatGPT Plus)に登録すれば、プログラミング不要で独自のGPTを作成可能。
・作り方は簡単7ステップ: GPT Builderとの対話を通じて、直感的に開発できる。
・成功の鍵は「指示」にあり: 具体的で明確な指示を与えることが、高性能なGPTsを育てる最大のコツ。
・ビジネス活用は無限大: 定型業務の自動化からコンテンツ制作まで、アイデア次第で活用の幅は大きく広がる。
最初から完璧なGPTsを作る必要はありません。まずは本記事で紹介したステップに沿って、簡単なGPTを一つ作成してみてください。そして、実際に使いながら少しずつ改善を加えていくことで、GPTsはあなたにとってかけがえのないパートナーへと成長していくでしょう。
さあ、あなたもGPTsの世界に足を踏み入れ、AIとの協業による生産性革命を体験してみてください。


 
		 
			 
			 
			 
			 
			 
			