2025年、生成AIの活用が国内の大企業を中心に一気に進み始めています。特に注目されているのが、「社内チャット」へのAI統合。
FAQ対応、社内マニュアルの検索、翻訳など、“情報を探す”業務における時間削減効果が、具体的な数値と共に明らかになってきました。
Slack社の調査では、社内チャットにAIによる要約機能を導入した結果、平均97分/週の業務時間削減を実現したとの報告もあります。
一方で、AI導入に際しては「クラウドか?ローカルか?」という選択が、情報セキュリティやコンプライアンスに直結する課題として浮上しています。本記事では、3つの導入アプローチを比較しながら、自社に最適なAIチャット導入の判断基準をご紹介します。
なぜ今「社内AIチャット」なのか?
生成AIの活用において、多くの企業が最初に注目するのが「情報の再活用」です。社内に点在するマニュアル、規程、ナレッジを効率的に引き出せる仕組みを、AIがサポートすることで、現場の判断スピードと業務効率は大きく向上します。
また社内のナレッジやノウハウの共有でも活用することができ、再現性を向上させることができます。
教育コストを引き下げることにも活用できます。
例えば、大手エネルギー企業INPEXでは、3,000人の従業員がAIチャットを通じて社内マニュアル検索や翻訳を行っており、部門を横断しての情報共有がスムーズに進んでいます。
導入の波が広がる中、**「データの取り扱い」や「運用管理のしやすさ」**が、各社にとって活用の幅が広がっています。
3つの構築アプローチと特徴比較
アプローチ | 導入スピード | セキュリティ | コスト感 | ユースケース例 |
---|---|---|---|---|
GPTs構築型 | 数時間〜数日 | クラウド依存(OpenAI) | 月額$20〜 | マニュアル検索、営業メール作成、FAQ対応 |
API組み込み型チャットボット | 1〜4週間 | ID連携&クラウド | API従量課金 | IT/総務ヘルプデスク、翻訳 |
ローカル構築型(Saas) | 1〜2か月 | 社内完結(高) | Saas費用 | 機密文書Q&A、法務確認 |
アプローチ別の詳細・導入事例
GPTs構築型:小さく、早く、試せる
OpenAIが提供する「GPTs」は、社内ファイルや指示(プロンプト)を組み合わせることで、ノーコードで自社専用のチャットボットを立ち上げられます。
- 導入ステップ(目安:1週間)
- 利用目的を明確化(例:社内規程の問い合わせ対応)
- PDF/CSVなどのナレッジデータをアップロード
- プロンプト設計(例:「文書を要約し、出典も表示」)
- 少人数でのβ公開とテスト
- メリット
- ノーコード/迅速な立ち上げ
- 部門単位でのPoCに最適
- 注意点
- データがOpenAI経由で処理されるため、機密情報には適さない
- ChatGPTユーザーにしか情報を共有することができない
API組み込み型チャットボット:スムーズに現場へ浸透
既存のSaaSサービス(Slack、LINEなど)を活用し、既存チャットUIにAIを組み込む形の導入です。
インターフェイスが使い慣れているSlackやLINEで構築したいときなどに有効です。
- 導入事例
- LINEにChatGPTなどのAPIを繋ぎ、RAGによる社内ファイル検索を実現
- Slack AI:チャンネル要約、スレッド検索などで業務時間97分削減(週)
- 導入ステップ(目安:2〜4週間)
- SSO/ガバナンス設定
- FAQやマニュアルをRAG形式で整形
- 部門横断のPoC展開(KPI:時間削減率、回答精度)
- メリット
- UI教育コストが低く、すぐに利用可能
- UI教育コストが低く、すぐに利用可能
- 注意点
- API従量課金
ローカル構築型(Saas):機密性と長期コスト最適化を両立

MoMoが提供する「 AIチャットサービス」はRAG基盤による完全オンプレミスのAIチャット構築が可能です。
- 導入事例
- 教育機関:学生の問い合わせ対応の社内LLMを導入
- 大手営業会社:GPUと日本語特化LLMを組み合わせたスターターキットを提供
- 導入ステップ(目安:1〜2か月)
- GPUハードウェアの選定と設置
- モデルの配置とカスタマイズ
- 社内文書をベクトルDBに投入
- API連携、連携設定
- モデル管理・運用ログを自動化
- メリット
- セキュリティ最高水準
- ランニングコストを最小化
- URLを共有することで全社員の共有可能
- 注意点
- 外部委託か技術運用体制の整備が必要
導入判断フロー:どの道を選ぶか?
AIチャット導入の成功は、「最初の一歩」の踏み出し方で大きく変わります。
- PoCの速さ重視 → GPTs構築で少人数から試す
- 既存ツールでの活用 (UI重視)→ SaaS型チャットを導入
- セキュリティ最優先/長期視点のROI重視 → ローカル構築
MoMoの支援内容
MoMoでは、AIチャット導入の各フェーズに応じた支援メニューを提供しています。
フェーズ | 支援内容 |
---|---|
要件定義 | 導入目的の整理、KPI設定、モデル&インフラ選定 |
導入 | GPTs構築ハンズオン/LINE AI設定支援/Saasサービス提供 |
運用 | プロンプト設計・改善ワークショップ、ログ分析、セキュリティ監査 |
特に注目すべき点として、現在、国や地方自治体も「生成AIの企業導入」を強く後押ししており、補助金・助成金の活用が進んでいます。
例えば、以下のような制度が活用可能です:
- IT導入補助金(中小企業向けSaaS導入支援)
- ものづくり補助金(ハードウェア導入・開発支援)
- 業務改善助成金(業務効率化を目的としたAI導入費用支援)
- 人材開発支援助成金( AIが活用できる人材育成支援)
- 省力化投資補助金(中小企業向け省力化ツール導入支援)
MoMoは、AI導入に関する技術支援だけでなく、こうした補助金や助成金の申請サポート体制も整えており、導入コストの大幅な軽減が可能です。
**「費用面がネックで進められなかった」**という企業こそ、今がチャンスです。
技術支援 × 公的支援の両輪で、導入のスピードと確実性を高めましょう。まずはお気軽に無料相談にお申し込みください。
まとめ
生成AIは、もはや未来の話ではなく、目の前の業務改善ツールとして動き始めています。
情報検索やナレッジ共有の負担を大幅に削減する「社内AIチャットボット」は、まさにその代表例。
導入の成否は、自社の業務特性とセキュリティ要件をどう見極めるかにかかっています。
MoMoでは、テクノロジーの力を「すぐに・安全に・確実に」業務に活かす支援を行っています。
ぜひ、この機会に“社内生成AI”を前向きに検討してみてください。
最後までご覧いただきありがとうございました。